「熟字訓・当て字」対策法とQ&A

<おすすめの対策法>

このページでは「熟字訓・当て字」に特化した
対策法を紹介します。

意外と軽視されがちな当て字分野ですが、
1級合格のためには重要な得点源です。

目標に合わせて、次の4段階にまとめました。

「初級編」「中級編」「上級編」「超上級編」

 

● 初級編(初めて学習する方へ)

「1問も解けない」という方に向けた対策法になります。
まずは基本的な当て字を一通り覚えましょう。

1.漢検協会が発行した問題集の当て字を覚える。

 まずは「完全征服」「分野別 精選演習」の問題に目を通しておきましょう。
 協会公認の問題集を見ることで、本試験の大まかな難易度を知ることができま
 す。

 実際の過去問を全て集めるよりはお手軽な上、本試験で出題される問題とほぼ
 同じレベルです。「10問中何問解けるのか」を意識して勉強すれば、自分の今
 の実力を知ることもできます。

 収録数:「完全征服」- 250個 (国名・地名 - 39個)
     「精選演習」- 200個 (国名・地名 - 30個)

協会公認の問題集

 協会非公認の問題集でも、基本的には過去問をまとめたもの、あるいは公認
 問題集で十分対策できる範囲の問題が多いです。また、中には出題傾向を考慮
 せず独自に作成された
問題集もあるため、注意してください。


2.過去10年分の熟字訓・当て字を一通り覚える。

 次は、実際に出題された過去10年分の当て字を学習しておきましょう。
 当て字分野においては、過去に出題された問題がもう一度出題されるという
 傾向があります。→「出題回数ランキング」

合計出題数:10問×年3回×10年分=300問

 しかし、実際に過去の問題を一通り入手するのは少し手間がかかります。
  →参考:「国立図書館での入手方法」30's 資格論

 そのため、この対策法は余裕のある方のみで構いません。

ここまでの目安:本試験で10問中3~4問程度は解ける...かも。

 

● 中級編(ある程度学習済みの方へ)

「数問なら解ける」という方に向けた対策法になります。
標準レベルの当て字に慣れておきましょう。

1.漢検漢字辞典(第二版)当て字索引を大まかに覚える。

 次は漢検協会が発行した漢検漢字辞典 -第二版- (以下、漢検辞典)を元に学習
 するのが確実です。(第二版では当て字も新たに追加されています)

 索引に載っている当て字に目を通しましょう。

漢検漢字辞典(第二版)と索引

 ただし、索引には相当量の当て字が載っています。徹底的に覚えようとすると
 かなりの労力になるので、次の項目は省きましょう。

  ・人名(沙翁 - シェークスピアなど) → 過去出題なし

  ・外国地名(聖林 - ハリウッドなど) → H29-1に復活したが、毎回1問のみ

  ・ひらがなを含む(狼狽える - うろたえるなど) → 過去出題なし

 最終的に覚えるべき単語数は以下の通り。

 索引収録数:2142個 → 人名:13個
            外国地名:133個
            ひらがな含む:89個

 覚える単語数:2142 - (13+133+89) = 1907個

 それでも残った1907個すべての当て字を覚えきるのは大変です。
 「8割くらい覚えてればいい」を目標に頑張りましょう。

ここまでの目安:本試験で10問中5~7問程度は解ける...かも。

 

● 上級編(ほぼ学習済みの方へ)

「大体は解ける」という方に向けた対策法になります。
安定して合格点を取るため、徹底的に覚えましょう。

1.漢検辞典当て字索引徹底的に覚える。

 索引の8割方を覚えた後は、取りこぼしが無いよう網羅的にチェックしま
 しょう。「中級編」で指定した範囲に加えて、外国地名も含めてほぼ全て
 解答できるように補強していきましょう。

 単語数:1907個(中級編) + 133個(外国地名) = 2040個

 ただし、中級編でも述べたように「人名」や「ひらがな含む」の当て字は
 過去に出題されたことがないため、ここでは学習する必要はありません。

ここまでの目安:本試験で10問中8~9問程度は解ける...かも。

 

● 超上級編(満点を目指したい方へ)

この対策は基本的には不要です。
「どうしても満点取りたい」という方のみが対象です。

1.漢検辞典の索引にない当て字を覚える。

 当て字で1点も落としたくないという方は、まずは漢検辞典の当て字を制覇
 してしまいましょう。

 索引に載っている当て字はもちろん、索引にない当て字も調べて覚え切る
 のが理想的です。

索引にない当て字「父母(かぞいろは)」

 この辞典の当て字を覚え切った段階で、当て字分野はほぼ確実に満点です。
 しかし、これでもまだ100%ではありません。


2.漢検辞典にない当て字を覚える。

 実は、過去の本試験では「日照雨(そばえ)」「白頭鳥(ひよどり)」などの
 漢検辞典に載っていない当て字が出題されたことがあります。とりわけ
 難しい当て字ではありませんが、漢検辞典のみでは対応できません

 広辞苑には「白頭鳥(ひよどり)」、大辞林には「日照雨(そばえ)」が載って
 いますが、恐らく漢字クイズなどで知った人の方が多いと思います。

 クイズ番組に出てくる当て字も侮らず、調べる癖をつけた方がいいです。
 ただし、鵜呑みにするのはお勧めしません。(後述)

ここまでの目安:これならほぼ確実に満点取れる...はず。

 

<良くない対策法>

漢検1級を見据えているのであれば、
ただ当て字をやみくもに覚えるのは危険です。

以下に好ましくない対策法を列挙します。


×.雑学本や雑学系サイトに載っている当て字を覚える。

 漢検には協会が定めた「標準解答」というものがあり、たとえ漢検辞典以外の
 辞典に載っていたとしても不正解になる
ことがあります。

例:「甜瓜」の標準解答は「まくわうり」なので、恐らく「メロン」は×
 しかし、多くの雑学本やWebサイトでは「メロン」が載っている。

 特に雑学本やネットの情報は協会の採点基準に則っていないことが多いため、
 漢検協会発行の問題集で学習する方が無難です。

 もちろん、中には良質な模擬試験を作成・公開されている方もいるため、
 信用できる問題作成者であれば有難く挑戦させていただきましょう。


×.クイズ番組で出題された当て字を鵜呑みにする。

 前述した「標準解答」の件の他に、クイズ番組などで出題される当て字には
 典拠が明確でないものも含まれます。(「面り - まのあたり」など)
 漢検に活かすためには、初見の当て字は広辞苑などで調べた方が無難です。
  →参考:「広辞苑無料検索」Sora


×.難読漢字辞典(三省堂)に載っている当て字を覚える。

 誤解の無い様、先に言っておきます。この辞典自体はとても素晴らしいもの
 ですし、当て字を究めるのであればこの上なく重宝します。

 しかし、掲載されている当て字のレベルが非常に高く、漢検本試験には決して
 出ないような当て字
まで含まれます。さらには、標準解答にはない特殊な読み
 まで普通に掲載されているため、漢検対策には向きません。

例:「海驢」の標準解答は「あしか」ですが、      
   難読漢字辞典では「とど」が載っている。(恐らく×)

 この辞典は漢検1級合格後に学ぶことをおすすめします。

難読漢字辞典(三省堂)

×.人名の当て字を覚える。

 協会が公表する「審査基準」には、「地名・国名などの漢字表記(当て字の
 一種)を知っていること」と書いてありますが、人名については記述されて
 いません。
→参考:「各級の出題内容と審査基準」漢検公式HP

 未だかつて本試験では人名の当て字が出題されたことはないため、
 1級合格のために人名を覚える必要は恐らくありません。

 

<当て字に関するQ&A>

Q.読みのひらがなカタカナの区別は必要ですか。

A.指定がない限りどちらでも構わないとのことです。
  →参考:「漢検一級 かけだしリピーターの四方山話」


Q.地名・国名は出題されますか。

A.かつてH14-2を最後に長らく出題されていませんでしたが、H29-1で「華盛   頓(ワシントン)」が出題され、15年ぶりの復活を遂げました。

  それ以降も毎回1問ずつ出題されているため、次回も出題される可能性は十分   にあります


Q.漢検辞典の索引にない当て字は出題されますか。

A.H27-1で出題された「稲架(はさ,はざ)」は漢検辞典の索引には載っていませ
  ん。

H27-1の「稲架(はさ,はざ)」

  とはいえ、索引以外から出題されることは非常に稀です。
  最初は索引にある当て字を徹底的に覚えましょう。


Q.漢字4文字の当て字は出題されますか。

A.少し前ですが、H27-1の「没分暁漢(わからずや)」やH27-3の「側金盞花(ふ
  くじゅそう)」
、近年ではH29-1の「僂麻質斯(リウマチ)」やH30-1の「伯剌
  西爾(ブラジル)」
が出題されています。

  「長い当て字は出ないだろう」という偏った憶測をせず、しっかり対策して
  おきましょう。

「過去に出題された問題を一通り見たい!」という方はぜひこちらへ