漢字七不思議

<漢字七不思議 其ノ参>

「長すぎる訓読みの謎」


・・・。(ビリリッ)











・・・。(ガチャッ ピッ)











・・・あっ。(ブゥーン)






・・・また会いましたね。(ヴーー)






貴方も物好きですねぇ。(ヴーー)






もう気付いているはずでしょう。(ヴーー)






漢字の闇深さに。(ヴーー)






それでもまだ深入りしたいとあらば、(ヴーー)






(ピンポーン)どうぞお好きn・・・(ヴーー)






はい、何ですか?(ヴーー)






あっ、いいです。いらないです。(ヴーー)






いや、ホントにいいですって。(ヴーー)






新聞読まないんで。(チーン)






あの、これから昼食なんで。






はい、すみません。






はい、あ、いえ、もう結構ですって。






はい。






・・・。
















貴方は「閄」という漢字をご存じだろうか。






一時期、「長すぎる訓読み」を持つ漢字として

ネット上(の一部)で話題になった。

※念のため先に言っておくが、実際は「読み」ではないという説が有力。






某動画サイトでも「閄」を取り上げた

VOCALOID曲が投稿され、

そこそこ有名になった。






その「長すぎる訓読み」がこちらだ。

ものかげからきゅうにとびだしてひとをおどろかせるときにはっするこえ






明らかに眉唾物っぽいと思った貴方、その通り。






これは「読み」というより「意味」だ。

 『大漢和辞典』字訓索引の注意書きには、次のような一文があります。

 くだにまいたいと・くちをうごかす・くろいくちびるのうし の類も字訓として此の中に収録した。

 「くだにまいたいと(くだに巻いた糸)」などは「字訓」すなわち「訓読み」とは言いがたいかもしれないけれど、字訓索引を使う方の便を考えて、あえて「字訓として」収録したということでしょう。

(中略)

出典:漢字文化資料館 - Q0536






辞書の利便性を考慮し、「意味」をあえて

「読みっぽく」扱ったに過ぎないのだ。

※先ほどの曲の作曲者も、後にこのことについて補足している。






ではここで貴方に問おう。











「意味」「読み」の境目は何だ











この問いに答えるためには、

「訓読み」とは何かをおさえる必要がある。






その説明文は以下の通りだ。



(中略)

では何をもって「訓読み」というのか。このご質問はよくいただくのですが、はっきりとしたお答えができないのが実際のところです。なぜかというと、「訓読み」と「意味」との境目があいまいだからです。

(中略)

現在の「常用漢字表」には「常用訓」と呼ばれる訓読みが示されていますが、「常用漢字」があるということは「常用でない漢字」もあり、「常用漢字」においても「常用でない訓」もあるのです。そういった、「あまり使われない漢字」や「あまり使われない意味」については、使わないから読みを整理する必要もないまま、現在に至っています。

(中略)

みんなが知っている読みでないと、「訓読み」と言い切るのは躊躇してしまいます。しかし、どこからどこまでを「みんなが知っている」と言えるのか、そこがはっきりしないので、どこまでが「訓読み」なのかという問いに対する答えも、結局ははっきりしないわけです。

出典:漢字文化資料館 - Q0536











・・・また見てしまいましたね。











この漢字界の陰を。
















漢字とはあくまで「言語」だ。

いわば「コミュニケーションの道具」なのだ。






人に使われることで初めて生きる。






逆に言えば、

使われなくなった漢字は死ぬのだ。






「読み」すらまともに定められないまま。











「閄」だっていわば瀕死の状態だ。






その上、そのような漢字はまだ山ほど存在する。






この世界の大多数の漢字死にかけているのだ。






もう誰にも使われることなく、






やがて消えていく・・・






跡形もなく・・・


























(ピンポーン)











・・・。(絶対新聞のやつだろ)






(ガタン)






・・・。(え?なんか入れられた?)






・・・。






(スタタタッ・・・)






(パカッ)






・・・。


















なに勝手に新聞入れとんねん(実体験)